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核兵器には戦争に至らない「抑止力」があるか !
核兵器には戦争を食い止める抑止力がある。その根拠は、「核兵器は破滅的な破壊力をもっている兵器だから、戦争をしかければ、あなたは破滅の道を選ぶことになりますよ」というのが、その根拠です。つまり、「核による抑止力」というのは、いざという時には核兵器を使用することを前提にした議論です。それはそうだけど、現実には怖くて、核兵器を持っている国には戦争をしかけないと思うよと思っている方がいるかもしれません。
しかし、今、ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ侵略を進める中、核兵器の使用をほのめかしています。これは単なる「威嚇」だけでしょうか。プーチンは「ロシアが存在しない世界など必要とするだろうか」と発言しています。全人類の破滅を否定しない発言です。原子力発電所への攻撃も現実に行われています。核兵器を使用する現実が生まれている中、核による「抑止力論」は、無力になっていると言えます。核兵器はこの地球上からなくすしかありません。
「核抑止力」にしがみつき、核兵器を持つアメリカにしがみつき、アメリカが「核兵器の先制使用はしない」と世界に約束しようとすれば、それに、ブレーキをかけるのが日本政府です。世界で一番核兵器の残虐性を知り尽くす日本でありながら、「核兵器はいつでも使用できるようにしておいてくれ」と核兵器の使用を前提とする「核抑止力」にしがみついているのが日本政府の立場です。
広島・長崎の惨禍を繰り返すことを否定しない、広島・長崎の惨禍を前提にした立場だと言わなければなりません。このような「核抑止力」に固執しながら、その一方で、核兵器禁止を唱えているは大きな矛盾です。 これまでの日本政府の発言は大きな矛盾があると言わなければなりません。
このように、「核抑止力論」は、いざというとき、広島・長崎のような非人道的な惨禍を引き起こすことをためらわないという議論です。 原爆を体験した日本が、このような惨禍を生む「核抑止力」論に、いつまでもしがみついていていいのでしょうか。核兵器はこの地球上からなくすことが必要です。核兵器はなくすしかないのです。
アメリカの国務長官を務めたジョージ・シュルツ氏は、次のように発言しています。
核兵器というのは、いざというときに使えなければ抑止にならない。それでは、何百万人の市民がいるところに核兵器を落とせるか。文明国の指導者であればそんなことはできない。落とせないなら抑止力にならない」と。
「核抑止力」の幻想を打ち破ることが、核兵器をなくす道につながっていると言えます。
石田利春 記
テーマ:戦争法案・原発・消費税増税・TPP / /