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「きれいな国」を返したい



福島第1原発で事故後初の「被ばく労災認定」を考える

 すでに報道されたように、事故収束作業に従事し、白血病を発症した40代の作業員について福島労働局富岡基準監督署は、「被ばくと疾病の因果関係が否定できない」として労災認定をした。 男性の「累積被ばく線量」は1年半で19.8ミリシーベルトにのぼるという。

 日本人の放射能被曝は、広島、長崎、ビキニ諸島、に続き「4度目」になる。しかし、今回は、福島原発、いわゆる「いちエフ」での事故に伴うものであり、各地の原発では、これまで作業員の「がん」で労災認定された方は、実に13人にも上る。被ばくは4度目ではないのだ。

 完全防備の作業服でも、長時間高線量の被ばくがつづくと、意味はない。メルトスルーした核燃料は、ヒトの染色体を確実に傷付けていく。そういえば、事故のとき、水蒸気爆発はメルトスルーの結果なのに、政府も東電も「メルトスルーはしていない」と言っていた。なにもわかっていないのにだ。
 私としては、作業員の被ばく線量が果たして正確かどうか疑問も残る。それは、生きるために作業をつづけなければならなかったから。多くの作業員が線量計のスイッチを切って作業をしたという。いずれにしても、労災認定されると「医療費と休業補償」は支払われるが、その代償は決して小さくはない。 事故現場は、何がどうなっているのかさえもまだ良く分かっていない。そして廃炉に向けての行程はまだ見えていない。日本人にとって廃炉作業は初めてのことである。この先、40年で終わらない場合もある。
 3.11事故で「安全神話」が何の根拠もないものであることが明らかになった。「すべての原発は廃炉に!」は国策として掲げるべき課題である。クリーンエネルギーへの大転換は、早急に着手しなければならない。日本は、これ以上の「ヒバクシャ」を産んではならない。

 原子力は、ほんのひと握りの人たちにとっては、莫大な利権と利益をもたらす「打ち出の小槌」であるが、大多数の国民にとっては、未来を消し去る危険極まりない害悪である。
 いま、「戦争法を廃止する政府」を提案している共産党だが、「原発を廃炉にし、クリーンエネルギーへの転換を進める政府」も遅くない時期に実現したいと願っている。
 まだ顔を見ぬ未来の日本人に「きれいな国」を返す義務が私たちにはあると思う。 杉野 記

2015.10.23 12:23:03

テーマ:杉野 おさむ かけあし日記/ コメント(0)/

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